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3.11の津波被害を受けて高台移転した陸前高田市の今を見つめる。【岩手の旅#4】


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東日本大震災から5年の陸前高田市の今を見つめるシリーズ。

前回はかさ上げ工事中の姿について紹介した。

今回は,かさ上げ工事と同時に進行している

街の高台移転について紹介したいと思う。

 

陸前高田市に限らないが,3.11で津波被害を受けた街の多くは

高台移転に向けても復興工事が進められている。

しかし実際には仮設住宅に住んでいる人がかなり多い。

高台移転をしても,家を建てるに至っているのは

5年経った今でもまだわずかしかいない。

 

高台移転が進む陸前高田市。

前回の記事で紹介したように,

震災前,街の主要な建物の多くがあった場所はかさ上げ工事が行われている。

今となっては,過去の街の様子は見る影もなくなりつつある。

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その一方,街のはずれの高台には大きな施設が立ち並んでいる姿が見れる。

例えば陸前高田市の市役所は,プレハブではあるが

高台の街の中央に位置する場所に建てられている。

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市役所の付近には,

新しくできた消防署,陸前高田駅の代わりにできたバス停などが見える。

どれも津波の被害を受けた施設ばかりだ。

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バス停の奥に見える建物は

陸前高田市コミュニティホールである。

シンガポール政府の支援を受けて建築された建物で

ホールや大会議室,集会室などの施設を使用することができる。

 

このように,高台では次々に新しい建物が建てられており,

一見すると復興が進んでいるように見える。

 

人が入らない公営住宅。

このコミュニティホールの近くには

公営住宅が立ち並んでいる。

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一棟で約300世帯が入れる公営住宅。

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しかし,洗濯物はまばらで,

駐車場に止まっている車も少ない。

昼間とは言ってもあまりにスカスカな状態だ。

 

事実,立派な公営住宅には空室が目立ち,

仮設住宅から引越しが計画通りには進んでいないという実情がある。

その理由は家賃の高さにある。

世帯収入にもよるが,だいたい6万円+共益費。

そして復興住宅であるという性質上,いずれは引越して出ていかなければならない。

この公営住宅に住んでいる人のほとんどが65歳以上。

住宅ローンを組むことができない,年金暮らしの高齢者だ。

 

津波被害によって仕事を失った世帯には高額である。

加えて,漁業や農業を産業とする世帯が多いため,

世帯あたりの駐車場が足りないという問題も起きているらしい。

要するに,この地域に住む世帯の特徴が

この公営住宅には十分反映されていないのだ。

 

ようやく家の建築が始まる整備された高台。

このような立派な公営住宅の横では

ようやく土地が整備され,これから家が経とうとしている場所がある。

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一部地域では家の建設を終えて,

ようやく生活が始まろうとしている地域もある。

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仮設住宅に住む人の多くは家の再建を臨んでいる。

地域上の性質もあると思われるが,

資産になることのない公営住宅よりも

家の再建を望んでいる人が多いのだ。

 

おわりに:高台移転とかさ上げ工事,その中にある明暗。

一刻も早く家の再建を目指し,元の生活を送りたい人々には

前回紹介したかさ上げ工事の様子はどのように目に映るのだろうか。

 

かさ上げ工事の終了,そして街の再建はまだまだ先の話だ。

一方で,今すでにある高台での生活を望んでいる人々。

もし街が完成すれば,高台に住むことは漁業や農業にとって不便であるが

あの悲惨な津波を直に経験した人に対して

それを批判するのは野暮というものだろう。

 

高台での家の再建を目指す人々にとっては,

かさ上げ工事にかかる莫大な費用があれば,

家の再建の支援にまわして欲しいと考えた人も多いことだろうと思う。

 

どちらが正解かなんて,ずっと先まで分からない。

 

今後,どのように陸前高田市が復興していくのか。

まだまだ目が離せない。

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