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Learninghacker

知的で創造的な刺激を求めて

理系がイラっとくる計量カップ。


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写真の計量カップは我が家にあるものだ。

料理をするのに便利なのかもしれないが,

理系の私としては,この計量カップにイライラせずにはいられない。

 

ただしこの記事では

理系を数学・理科が得意な人くらいの意味で使うので

理系の定義については深くツッコまいでいただきたい。

 

計量カップは「体積を量るもの」

この写真に写っている計量カップは

表側にmL単位のメモリと主な数値が記述されている。

そこまではいたって普通の計量カップだ。

しかしこの計量カップ,反対側は写真のように

小麦粉と砂糖を「量る」場合の「重量」のメモリが書かれている。

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同じ体積の小麦粉や砂糖を「量る」からといって

重量が同じであるとは限らないことが,このメモリから読み取れる。

 

なぜそのような違いがあるかといえば,

物質によって「どのくらいギュウギュウに物質が詰まっているか」が

異なるからである。

この概念は「混み具合」という言葉で小学校5年算数に出てくる

「密度」というものである。

 

一見すると料理(特におかし作り)をする人にとって便利そうなメモリだが

この重量メモリは計量カップとしての本質を見失っている。

理系にとってこれは見過ごせない。

 

冒頭にも書いた通り,

計量カップは本来「体積を量るもの」なのだから,

小麦粉だろうが砂糖だろうが,量れるものは(だいぶアバウトな)体積しかない。

体積を量っているにもかかわらず,

質量を量っているような認識を与えるこの計量カップは

使用する人にミスコンセプションを与えていると考えられる。

 

・・・とは言っても,実はこのタイプの誤解は

調理用具の中では別段珍しいことではない。

例えば「大さじ」「小さじ」などの計量スプーンもそれだ。

計量スプーンも相当アバウトであるが,スプーンの上に乗る物質で分かることは

大さじが約15mL,小さじなら約5mLという体積だけだが

それを大さじ15g,小さじ5gと勘違いしている人もたぶんいるだろう。

それが成り立つのは水しかないが,

レシピ本やクックパッドですら普通にこの手の誤解を招く表記があることから

ミスコンセプションが相当広がっていることは想像しやすい。

 

「物と重さ」の概念理解の曖昧さ。

料理という具体的な状況に埋め込まれた場面の場合,

私は先の計量カップで小麦粉を約100g量りとったり,

計量スプーンで砂糖を約15g量っても困らないと思う。

もしそれがおかし作りなら、美味しいお菓子ができるとは到底思えないが,

少なくともヒューリスティックな解決方法である事は否定のしようがない。

直感的でわかりやすい。

 

けれど,科学的な見方や考え方ではない,という事実だけは

承知しておく必要くらいはあるだろう。

少なくとも,理科の世界では許されることではない。

質量や体積を量ることは条件制御において独立変数を決める

最も重要な行為だからだ。

その数値が信頼できて初めて実験結果が意味あるものになってくる。

 

ちなみに今回紹介した内容というのは

小学校3年理科の「物と重さ」と呼ばれる単元と関係がある。

体積と重さ(ここでいう重量)は物によって異なることを理解することも

この単元の学習目標に含まれている。

 

しかし(名前は伏せておくが)教科書によっては

質量変化における物質の挙動の変化を観察するために

計量スプーンで物質を量ってしまうようなとんでもない教科書も存在する。

 

おわりに:身の回りに似たようなものがないか探してみるのも興味深い。

アバウトな問題解決で良い時もあれば,そうではない時もある。

状況による。だからこそ,使い分けが必要である。

どちらが正しいということはない。

 

あなたの身の回りにも,今回紹介した計量カップのように

そのモノの本質とはずれた使い方をしたものはないだろうか?

そのズレが意味のある場合もあれば,

全くもって見当はずれな時もある。

 

そういったものを探してみるのも興味深いだろう。

 

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