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センター生物基礎&生物の受験利用をオススメできない3つの理由。


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11月に入り,文系もさすがに理科のセンター試験対策を

本腰で行う時期となってきた。

 

以前このブログでは,特に文系の人向けの

勉強方法とオススメ問題集について紹介してきた。

そんな生物専門の理科教員である自分が言うのもなんだが

学習指導要領改訂後の生物基礎と生物を

センター試験で受験利用するのは,本当にオススメできない 。

こんなリスキーな科目はない,と受験対策を指導しながらつくづく思う。

 

単に生物好きのオタクが娯楽で問題を解くなら骨があって実に面白いのだけれど

これで進路の匙を預けると思うと,かなり怖い面がある。

そこで今回は,センター生物基礎と生物の受験利用をオススメできない理由を

まとめてみようと思う。

 

古典止まりの物理と化学の方が圧倒的に対策しやすい。

生物基礎と生物をセンター利用することをオススメできない理由を挙げる前に

まず大きな声で言いたいのは,物理と化学の方が圧倒的に対策しやすいことである。

 

これは学習指導要領改訂後も物理と化学には内容に大きな変化がなく

過去問や有名な定番参考書で対策がとてもしやすいことが挙げられる。

イメージで物理や化学を難しいと倦厭しがちだが

安易に学んで裏切られる生物に比べれば何倍も実は易しい科目と言える。

 

一方,生物はつい数年前まで大学レベルだった内容が

主に細胞生物学,分子生物学,発生生物学,進化生物学を中心に入ってきており

まず内容量が圧倒的に多く,複雑になっている。

 

複雑になった上で,

暗記だけではどうにもならない点が3つあるから,リスクの高い科目なのである。

 

1.生半可な知識理解が全く通用しない。

暗記がいくら得意でも,センター生物基礎と生物で

得点を確実に取っていくのは,他の科目に比べるとかなり難しい。

と言うのも,かなり深く知識を理解していることを要求されるのだ。

  1. 速く正確に文章を読み取る文章読解力の要求
  2. 1を前提に,情報を的確に整理する能力の要求
  3. さらに2を前提とした,生物学知識の的確な照合の要求

文章を読むスピードに関しては,

はっきり言ってセンター現代文よりも難しいと私は思う。

それを前提に説明内容を的確に整理する必要があり,

それを生物学知識に照らし合わせて問題文を理解しなければならない。

その上で問いに答えなければならないのだ。

 

基本的にセンター試験は「教科書の内容からしか出題されない」。

が,ここで言う「教科書の内容」とはすなわち「生物学の知識」のことを指し,

具体的な実験状況やその結果表記は自由に選択できる。

物理や化学と違うのがここで,実験状況の記述はいくらでも改変可能なため

あらゆるパターンからどんな知識が必要か検索する必要がある。

つまり,過去問の演習では対応しきれない

土壇場の推理をかなり強く要求されるのである。

 

2.実験解釈が難しい。

文章読解だけでも難しい上で,さらにそこに上乗せされるのが

実験解釈を要求し考察を選択する正誤問題である。

 

まず,大多数の受験生は生物の授業で実験経験が乏しい。

そもそも学校の設備ではできないようなもの,

季節や期間,地理的な制限を受けるようなもの,

時間数に合わないあまりに多い知識内容,

これらが組み合わさると実験解釈を実際に体験する機会は

SSH指定高くらいしかないだろうと思われる。

 

ちなみに,センター試験の実験解釈は意外とワンパターンで,

問題に示されている結果1つ1つをシンプルに解釈した上で,

結果と結果の間に存在する因果関係を推察するような考察しか出てこない。

が,因果関係の考察は最も多くの人が苦手とする推論パターンなので

暗記に頼りがちな生徒ほど,このドツボにハマりやすい。

 

加えて,回答は選択式のマークシートなので,

問題文や回答文にブービートラップやフェイクが多い。

「正解」「不正解」だけでなく「よく分からない」回答文も多く,

一見それらしく見える文章が受験生のミスリードを誘ってくる。

そこが実にいやらしい。

 

3.時間が足りない。

そして最後は時間配分の難しさである。

理科4科目の中で圧倒的に文章量が多く,

情報整理にも慎重さと俊敏さを求めらるため,

時間内に収めるのが大変難しくなっている。

 

単純に知識理解や実験解釈のトレーニングも必要だが

それに加えて正確な解答ペース配分が要求されるのである。

どんな問題が飛び出すのか,過去問から想定することが難しいため,

これについても本番の土壇場で柔軟な采配が必要になるのである。

 

おわりに:科目格差の是正は必要?

ある科目に難易度の偏りが発生することは

単にセンター試験科目の受験に限らず,

日本の理科教育においてもデメリットが多いと思われる。

 

例えば,日本では地学(地質・気象・天文)については

他の3科目に比べて履修が少なく,たとえ理系でも知識に偏りがある。

センター生物基礎や生物が今後も今のような偏りのある難易度を維持すると

高等学校のカリキュラム構成でも倦厭される可能性がないわけでもない。

 

この記事を書いている2016年,試験日の2017年では3回目の実施になるが

どんな問題が生物基礎や生物で飛び出すのか,非常に気になるところである。

 

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