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知的で創造的な刺激を求めて

教師を目指している人に個人的に勧めたい10冊の本(ただし他の人が勧めなさそうな)


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こんにちは,uru(@uru_)です。

 

6月となると,これから/すでに春の教育実習をやる/やったという人も

多い頃でしょう。

まぁ大変だとは思うんですけれど,そこから得る経験も多いですし,

教育実習を経て,なんだか学校のことに詳しくなったような気になるという

大きな勘違いをするのもまたこの時期です。

 

大丈夫,私も昔そうでしたから(笑

 

大事なのは体験や経験それ自体ではなく,

それをいかに他の知識と統合してより高次元な専門的知識やスキルにするかです。

時代の変化が早い今,

教職経験だけ重ねても良い教師になる保証なんてどこにもありません。

むしろ,実体験は秘薬みたいなもの。

なんだか自分ってできるんじゃね?みたいな驕りへと貴方を誘います。

 

そうならないためには,経験以外から得られる知識の量や,

それをうまく仕事と統合する思考力の方がとても大事。

そして,それを得られるのは,基本的には「本」です。

 

今回ご紹介するのは,教師を目指している人に個人的に勧めたい本です。

ですが,なるべく他の人が勧めなさそうなマニアックな本ばかりチョイスしました。

教員採用試験には多分役に立つとは思えませんが,

現場に出て得た経験をあなたなりの知識へと体系化するのに

お役に立つのではないかと思います。

 

この記事での約束事

この記事では教師を目指している人に本を勧めます。

もちろん,あなたなりの「良い」教師を目指してもらいたいですし,

それ以前にひとりの人間としての糧になれば幸いです。

 

ですからこの記事は,大前提として「読書能力のある人」に向けて書きます。

(ていうか,本を読まない人は教師にならない方が良いです)

 

あと,校種や専門科目など限定的な内容はこの記事では触れません。

そういった些末なことは,ご自身で本を探しましょう。

役立つ本を探すことだって読書能力の1つですからね。

 

では,始めましょう。

今回は以下の5つをテーマに書籍を紹介します。

  • リーダーシップを高める。
  • インプットの質を高める。
  • アウトプットの質を高める。
  • エビデンスに基づく。
  • 本質に迫る。

 

リーダーシップを高める。

まず最初にご紹介するのは,リーダーシップを高める本。

といってもこれから教師になる人が管理職になるのは先の話なので

まずは学級運営に役に立つ本から行きましょう。

 

学級運営に関係する本はかなりあるのですが,個人的にオススメなのが

中嶋郁雄さんの『教師に必要な6つの資質: 学級担任に求められるリーダーシップがわかる』

この本は,とても「読みやすい」ですね。

でもそれはこれを読んでいるあなたが初心者だからという意味ではなく

著者である中嶋さん自身の知識整理に無駄がなく筋道立っているからです。

教師の書いた本で,グダグダと経験論を並べて偉そうなだけの本は

読むに値しません。

中嶋さんは①指導者,②経営者,③授業者,④支援者,

⑤ムードメーカー,⑥危機管理者,という6つの枠組みから整理されています。

 

私だったら③〜⑤はひとくくりにしてしまうかもしれません。

この項目は教師側の教授観・学習観による問題なのですが,

初心者の方にとってはむしろ丁寧でわかりやすいかもしれません。

あと⑥は多分,教員採用試験の面接や小論文で役に立つでしょうね。

 

普通の企業じゃまずあり得ないことですが,新任教師も赴任してしまえば

学級の「経営者」という難しい仕事をやらざるを得ませんし,

逆に言えば,経営者としての視点が教師としての第1歩とも言えます。

時々,講師をやりながら何度も教員採用試験に落ち続ける人がいますが,

そういう人に限って大体教科指導や生活指導はできるけど

「経営」という視点に何か問題がある場合が多いような気がします。

 

ただ「経営」という意味では,もっと本質的なものを扱っている名著を読むと

さらに理解が深まると思います。

オススメしたいのはP. F.ドラッカーの『非営利組織の経営』

ドラッカーで「マネジメント」や「もしドラ」くらいは

聞いたことがあるでしょう。

『非営利組織の経営』もマネジメントの本ではあるのですが,

この本には,学級経営の本には出てこない,

けれど重要な要素がたくさん出てきます。

 

特に重要だと思うのは「ミッション」と「目標」。

中嶋さんの本も決して悪くないのですが,この部分が弱い。

リーダーシップとは何かについて,ドラッカーは非常に詳しく書いています。

そしてもう一つ見過ごせないのが「自己啓発」。

教師は子どもの成長のために仕事をする。それは当然なのですが,

それに関わることによって,あなたは何を得るのか?

アウトプットされたものが,最後にインプットとしてフィードバックされることを

ドラッカーは忘れてはいません。

このあたりについては,フツーの学級経営に関する退屈な本を読むより

よっぽど刺激的です。

 

インプットの質を高める。

真面目な人なら,いろんな書籍を読んで勉強したり

研修会のようなイベントで資料をもらったりと手持ちのネタが増えていく機会が

これからあると思います。

 

あると思いますが,ちゃんと整理するとなると結構大変です。

気づけば無批判かつ闇雲に形ばかりを真似する劣化版になり兼ねません。

そうではなく,ちゃんと自分の知識として蓄え,そして考える材料にするには

インプットとアウトプットの質を高める必要があるでしょう。

 

そこでオススメしたいのは倉下忠憲さんの『EVERNOTE「超」仕事術』

いわゆるライフハック系の本なのですが,

この本をあえて教師になりたいあなたに勧める理由は2つ。

第一に,ICTスキルを高めるために,クラウドサービスぐらい使えとけ!って話

(例え職場でEvernoteが使えなかったとしても)

第二に,この本は参考文献が役に立つということ。

 

思考の整理の仕方という意味では,著者である倉下さんは非常によく調べており

この本はそのエッセンスがいい塩梅に含まれています。

EvernoteがOneNoteになったってもちろん良いのですが,

参考にしない手はないです。

 

でもまぁ,こちらもやはり原典から1つ参考文献を挙げるなら

梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』も必読ですかね〜。

これに加えてKJ法で有名な川喜田二郎さんの『発想法』も良いですよ。

こちらはそれこそ授業や学級活動内でワークショップをやるなど

直接的にも使える場面があると思います。

 

アウトプットの質を高める。

これは私の偏見込みの話ですけど,

教師の人って,結婚式のスピーチがすごく下手な人,多いんですよね。

 

多分本人らは人前で喋るの上手だと思っているんでしょうけど,

一番多いのが,全部学校の文脈で話す人(学校関係者以外には通じない)。

もう一つは,論点とその筋道のまとめ方が変。

教師が書いた教員向けの本はこの手のエラーが多くて

まぁ,読んでいてつまらないったらありゃあしない。

 

ですから,「筋道立った」そして「正しくて伝わりやすい日本語」を

使う練習というのは必要です。

前者に関連するのがバーバラ・ミントさんの『新版 考える技術・書く技術』

後者に関連するのが本田勝一さんの『日本語の作文技術 新装版』

前者の本は学習指導案や研究論文を書く際に参考になりますけど,

汎用性が高いですね,ぶっちゃけどこでも使えます。

後者は先述に加えて学級通信など保護者向けの文章を書く際に参考になります。

シンプルで短く,わかりやすい文章もまた,どこでも使えるスキルです。

あと後者は子どもの書いた文章の校正にも非常に使える本です。

 

エビデンスに基づく。

ここから先はもう少し授業に寄った話。

平成28年度末に次期学習指導要領の改訂がありました。

いずれしっかり読まなければならないので,それに役立つ本です。

 

次期学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」という言葉が出てきますが,

それに関係して,これから授業を作っていくあなたは

教師として,授業のデザインの根拠となるエビデンスを

いかに提示できるか,今後より重要になってくると思います。

 

教育実習や自分の恩師の経験で満足してしまうと,

そのワナに確実にハマって大変なことになります。

そうならないために,教授と学習の本を1冊くらい読んでおいても

損はないはず。

色々良い本はあるのですが,比較的に広く扱われており読みやすいのは

栗山和広先生の『授業の心理学: 認知心理学からみた教育方法論』

この先生,私の恩師の一人でもあるので,若干色目もあるのですが,

でも広く浅く,でもポイントを押さえているという点では良い本です。

 

この本では「深い学び」とはなんぞや?ということを理解するのに役立ちます。

多分先生たちにとっては「主体的」とか「対話的」といった授業の方が

聞こえも良いのですが,いかんせん形ばかりで中身を伴わないものが多いです。

この2つこそ,本当に真に深く理解していないと失敗するリスクが高い。

それに比べたら「深い学び」の方が初心者のあなたでも手が伸びやすいと

個人的には思います。

 

ちなみに「学び」についてもっと深く勉強したいという方は

OECD教育研究革新センターの『学習の本質: 研究の活用から実践へ』

も良い本です。

ただし,この本は結構ガチなので,全部読もうとするとちょっと大変です。

 

本質に迫る。

最後にもう一つ,次期学習指導要領がらみの本について。

教科指導でも学級指導でも特別活動でも,

学校の従事者である以上は,コレをどれだけ理解し,

経験と重ね合わせて,どのように理想状態を実現するかはとても大切なことです。

ころころ変わる学習指導要領に文句ばかり言う先生も勤務する学校に

一人はいるでしょうけど,それは反面教師です。

皆さんの目指すものではありませぬ。

 

しかし,学習指導要領の本質に迫り,理解するには

もう少し他の資料も参考にする必要があるでしょう。

その時キーワードとなるのが「資質・能力」。

 

色々書籍は出ているのですが,

最初に読んで欲しいのは,国立教育政策研究所の『資質・能力 理論編』

国研のプロジェクト研究の一つである

「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究」の一部から

まとめられた本です。

学習指導要領の改訂の際に,若干モデル図の変更があったものもありますが,

原点はやはりこれでしょう。

あとは別の先生が書かれたり教科別に内容がまとめられたものもありますが,

この1冊を元に,自分の知識と経験からマネジメント出来たら

それがやっぱり理想的でしょう。

 

おわりに:あなたなりの専門知をつくることこそあなたの仕事

「リーダーシップを高める」「インプットの質を高める」

「アウトプットの質を高める」「エビデンスに基づく」

「本質に迫る」の5つのテーマで

変わった本ばかり紹介しましたが,いかがだったでしょうか。

 

このような本の紹介は初めてなので,紹介した私自身も手探りな部分は否めませんが

しかしどれも自信をもってお勧めできるものばかりです。

 

この本のどれか一つでも,お役に立てれば幸いです。

 

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