Amazon Kindleの最上級モデル,Kindle Oasis。
Wi-Fiモデル(キャンペーンあり)で35980円と決して安くないため
コストパフォーマンスを求めてしまうのは当然である。
私は実際にOasisを手にし,何日か使用してみたが,
よくある批判的なレビューに対して以下に示す2つの反論をしながら検討してみたい。
- 「コスパが悪い」に対する反論
- 「付属カバーが悪い」に対する反論
前回,その1について記事を書いた。
今回の記事はその2について議論してみたい。
Kindle Oasisが気になるが,購入するにあたってまだ躊躇している人にとって
このレビューが参考になれば幸いである。
「Kindle Oasisは付属カバーが悪い」に対する反論
付属カバーの存在は本当にデメリットか?
まず前提の話として,このKindle Oasisは万人ウケする端末ではない。
私が考えるコスパが合うKindle Oasisの使い方とは,結論から述べると
年間100冊以上読むこと である。
なぜ「年間100冊以上」なのかについては,前回の記事に書いたので
そちらを参照していただきたい。
Kindle Oasisの批判的レビューで一番多いのは「コスパが悪い」ということだが,
その次に多くレビューで触れられているのが付属カバーについてだ。
この付属カバーにはバッテリーが付いていて,
Oasis本体と接続することで追加の充電が可能な仕組みになっている。
こちらについては悪評が多いが,要約すると2点に絞られてくる。
- 付属カバーを装着した際の重量はPaperwhiteよりも重い!
- 付属カバーを装着していない時Oasisのバッテリーの減りが早い!
これについても,コスパと同様に「年間100冊」という基準で
考えてみたいと思う。
読書家はPaperwhiteをカバーなしで使うとは考えにくい。
まずは「付属カバーを装着した際の重量はPaperwhiteよりも重い!」について
議論してみよう。
多くのレビューで指摘されているように,重量を単純に足すだけなら
紛れも無い事実である。
ただし,ここで考えるべきことがある。
第一に「付属カバーはそもそも必要か?」という点,
第二に「付属カバーをつけたままOasisで本を読むか?」という点である。
「付属カバーは必要か?」という点についてだが,
Paperwhiteを使っている読書家がカバーなしでKindleを使っているとは考えにくい。
なぜなら,PaperwhiteのE ink画面はスマホの強化ガラス画面と異なり,
非常に傷がつきやすいからだ。
これはGoogleで「Kindle 画面 傷」で検索すればすぐに出てくる。
それこそ年間100冊以上読む読書家であれば,
Kindleを家以外の場所で使うことを想定していないとは考えられない。
であれば,上記の記事のように,保護カバーを使うこと自体は
極めて自然な行為なのである。
だとすれば,付属カバー込みのOasisと裸のPaperwhiteを比較する自体
そもそも現実的でない。
確かに付属カバー込みのOasisは200gを超える重量になるが・・・
カバーをつけたPaperwhiteはメーカーにもよるが300gを超えるだろう。
Inateck Kindle Paperwhite用保護カバー PUレザーケース マグネット付き ブルー(Kindle Paperwhite専用)
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カバンに入れて持ち歩くことを考えたら少しでも軽いほうが良い。
そういう意味では付属カバー付きでも300gを超えないOasisに軍配があがる。
ちなみに厚さを見ても,Oasisのほうが若干薄い(カバーの種類にもよるが)。
Kindle Oasisなら,カバーをさっと取って読書できる。
もう一つOasisの優れているのは,純正カバーがマグネットで結合しているので
すっと引っ張れば簡単に外れることである。
Paperwhiteのカバーは本体を包むようにしっかりとハマるタイプがほとんどなので,
逆に言えば,簡単には外せない。
読書のたびにいちいち外すとは考えられないので,結局重いまま読むことになる。
一方,Oasisは前回の記事でも書いたように,読書三昧に特化した設計である。
どこかに使い方が書いてあるわけではないが,
十中八九,カバーを外して読むことを想定していると思われる。
簡単に外せるのだから,逆に言えばカバーをして本を読む必要などないのだ。
やはりそういう意味では,付属カバー込みの重量と厚さで
読書活動について批判するのは,的を射ているとは言えない。
付属カバーを装着していない時Oasisのバッテリーの減りは確かに早い。
もう一つの批判的レビュー,
「付属カバーを装着していない時Oasisのバッテリーの減りが早い!」についても
検討してみよう。
やはりこれも紛れもない事実である。
先ほど述べたように,Oasisはカバーを付けずに読むのが普通である。
実際に読んでみると確かに本体のバッテリーの減りは早い。
Amazon公式の「数ヶ月もつ」というのは私もちょっと誇張かなぁと思っている。
バッテリーの放電は早いは,充電も早い。
ただし,ここでもカバーバッテリーと本体バッテリーの性質については
もう少し目を向けておく必要がある。
まず,Oasis本体使用によるバッテリーの減りは確かに早いが,
バッテリーがゼロになるまで読書するとはちょっと考えられない。
概算なのであまり参考にならないが,フル充電したOasisで
バックライトの段階を18にして3時間読書をした場合,
本体バッテリーの残量は60%程度であった。
バックライトや物理ボタンの操作回数,温度といった環境にもよるが
よほどぶっ通しで夢中になって本を読まない限りバッテリーはゼロにならない。
そしてもう一つ,これが重要だと私は思うが,
カバーを装着するとカバーから本体へ充電が行われる。
この充電スピードはかなり早く,10分程度装着すれば95%くらいまで充電できる。
また,本体バッテリーが仮に30%充電されたからといって,
カバーバッテリーが30%放電するわけではない。実際はもっと少ない。
カバーバッテリーの方が容量が多いのは使っていてすぐ気がつく。
実際のところ,フル充電してから何日間使えるのか現在実験中ではあるが,
少なくともPaperwhiteより劣ることは考えにくい。
トントンかそれ以上といったところだろう。
ちなみに付属カバーへの不満は
カバーとバッテリー部分のつなぎ目に当たる部分が薄くて弱いといった意見もあるが,
iPadのSmart Coverよりは丈夫なので,
よほど強く引っ張って引き裂こうとしない限り切れることはないと思われる。
おわりに:Oasisは唯一単独で完全なKindle。
先にも述べたが,Oasisは年間100冊以上の読書量があれば
コストパフォーマンスが良いKindleだと私は考えている。
それだけの読書量を維持するためには外部に持ち出すのは必須。
カバーが初めからついてくるのは理にかなっている。
おまけにバッテリーを分割したというのは
デザインとしてはものすごく画期的なアイデアだとすら思う。
良い読書活動にとってKindle本体の重量の軽減は避けられないが,
重量とバッテリー容量はトレードオフの関係だ。
そこでバッテリーを分割することによって本体を「読書時の重量」と割り切り,
さらにマグネット化することでカバーの着脱を容易にするというアイデアは
とても新しい。
余計な付属品について考える必要もなく,
ただ読書に没頭するだけでいい。
そういう端末が生まれたというのは,愛読家にとっては喜ばしいことである。
年間100冊以上読書し,かつ現行のKindle端末に不満がある場合には
Kindle Oasisを検討してみはいかがだろうか?