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ヒソカの死因は本当に「酸欠による窒息」か?少し考えてみた


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こんにちは、アニメも漫画も大好きなuru(@uru_)です。最近はちょっと漫画を読む量も減ってきてしまっていますが、そんな今でも買い続けている本の1つが『HUNTER×HUNTER』。

最新刊の34巻の最も熱いシーンといえば幻影旅団団長クロロとヒソカのデスマッチ。そしてヒソカは敗北(もちろんタダでは死なない)。その死因は、同じ旅団メンバーのシャルナークのセリフによれば「死因は肉の壁と爆発での酸欠になっての窒息みたいだ」らしい。

クロロvsヒソカ戦はとても読み応えがあって、特にクロロの特質系念能力スキルハンターにより盗まれた4つの能力での複合的な攻撃が非常に難解で、何度か読み直してようやく理解できたけれど、ヒソカの死因だけは実はちょっと疑問が残ってしまったのです。

人の死も科学! 念能力のある世界で、ヒソカは本当に窒息して(一度)死んだのか、真面目に検討してみました。

ヒソカは「酸欠」を良く理解していた?

プロハンターでもあり、天空競技場のフロアマスターでもあるヒソカ。世界を股にかける戦闘狂、これをヒソカの仕事として捉えるならば仕事とプライベートを超えた身軽なライフスタイルという意味ではちょっと憧れる部分もないわけではありません。殺し専門じゃなかったら、の話ですけど。

そんなヒソカを死に至らしめた原因が、まさかの「酸欠」による「窒息」という落とし所がなんとも絶妙だった単行本34巻。一つネタバレをすれば、ヒソカは「死後に強まる念」という性質を利用し変化系能力であるバンジーガムを利用して、心臓と肺を伸縮させて復活します。

ここは地味ですが、重要なポイントがあります。それは「酸欠による窒息」によって心臓と肺の組織的性質はすぐに失われてないということ。

描写では、そのあと息を吹き返し、マチとの会話も成立していることから、全身の細胞に酸素が供給され、脳の働きも戻っていると考えられます(加えて念能力による身体機能の強化もあるでしょう)。ヒソカはクロロの念能力による爆発寸前に身を丸くしており心臓と肺を最優先に守っていることからも、ヒソカが事前に死因を悟っていた可能性が高いと考えられます。

左手と右足を失った状態とは思えない判断スキルです。文字通りの化物ですね。

そもそも「酸欠」とはなんなのか?

ヒソカもおそらく理解していたと思われる「酸欠」。いったいこれはなんなんでしょうか?

日本では労働基準法、労働安全衛生法のさらに下の省令、労働安全衛生法施行令の中に「酸素欠乏危険作業」という規則があります。ここからヒソカのデスマッチを考察してみましょう。

まず、空気に含まれる酸素は約21%。酸素欠乏症等防止規則では、酸素濃度が18%未満の状態を「酸素欠乏」つまりは酸欠の状態をいいます

16%以下になると心拍や呼吸が増え、集中力が低下するといった自覚症状が現れます。14%以下になると意識が朦朧としてきます。高所での作業では転落死の可能性があります。10%以下だと意識を喪失したり、全身に痙攣が起こったりしてかなり危険です。6%以下だと失神・昏倒します。酸素吸入がないと10分以内に死に至ります。

ちなみに、世界一高い山,エベレストの頂上付近の酸素濃度は7%なので、自分の足で大量の荷物を持って登頂し降りてくる登山家と呼ばれる人たちがいかにすごいかよく分かります。

また、例え周りの空気が正常な酸素濃度であったとしても、酸素濃度がほとんど0%の気体を1回でも吸引してしまうと即死する可能性があります

そのため、パーティー用のヘリウムガスには必ず酸素が入っています。ヘリウムという気体それ自体は体に影響を与えませんが,しかしそれでも使い方を誤って一度に大量のガスを吸えば酸欠になる可能性があります。2015年にテレビ朝日でアイドルが吸引して意識不明になるという痛ましい事故がありましたが、それもまさに「酸欠」の事例です。

ただし、酸欠それ自体はあくまで酸素不足により組織(特に脳)が活動できなくなる状態なので、組織それ自体に損傷が起きるわけではないのです。もちろん酸欠後,時間が長ければ長いほどその保証はなくなります。そうでなければ、ヒソカは生き返れません。

ヒソカは本当に酸欠で死んだのか?

酸欠について分かったところで、問題はヒソカです。ヒソカは本当に酸欠になったのでしょうか?

描写を簡単に整理すると、ヒソカは左手と右手を失った状態で天空競技リング中央に墜落します。そこに念能力(ギャラリーフェイク+オーダースタンプ)によって「ヒソカを壊せ!」と指示された人形(リング付近で待機)が一斉にヒソカに襲い掛かります。さらに競技場の観客席上層階にいる人形(ギャラリーフェイク+オーダースタンプ+サンアンドムーン)が自爆します。

クロロのスキルハンターに新たに加わったスキル「ダブルフェイス」によって同時に2つの盗んだ念能力を使えるようになったわけですが、オーダースタンプの「死後に強まる念」の効果により、クロロがスキルハンターのページを閉じても、ギャラリーフェイクとオーダースタンプが残り続け、実際にはサイアンドムーンだけが発動している状態(この仕組みについてはヒソカもミスリードに途中で気づいている)。

始め、クロロは人形を利用してヒソカの死角を作って攻撃していることからリング上の人形にサイアンドムーンを施した可能性がとても低い。サイアンドムーンは対象に接触する長さで爆発力も変わるということなのでバトル序盤でヒソカを相手にしながら爆弾化するには時間がかかり、例え強力な爆弾にできたとしても,それでは周りの人形まで吹き飛んでしまい、ヒソカの死角はむしろ減ってしまうと考えられるためです。したがって、爆弾人形は観客席上層階にいた観客から製造したと考えられます。

そうなると,ヒソカに襲いかかる順は自ずと

  1. リング上にいる人形
  2. 上層階から飛び降りた爆弾人形

となるはずです。

実際、シャルナークの「爆破役の人形が近づく前に壊す命令を受けていた200隊の人形が群がって緩衝材の役目をはたしちゃったみたいだね」とも言っていることからも,死亡直前の状況が分かってきます。

ここで,最初のシャルナークのセリフ「死因は肉の壁と爆発での酸欠になっての窒息みたいだ」に戻ります。

1番外側の人形が爆発したことによってその場の酸素が急激に燃焼されたことによって

部分的に酸素欠乏環境が生まれた可能性は高いと考えられます。その空気をヒソカが吸い込んでしまって即死した可能性はあります。

ただ、もしそうだとすれば少し疑問もあるんですよね。

もし破壊役の人形も爆破によって燃焼したとしたら、ヒソカのいる中央部分では不完全燃焼による一酸化炭素の発生もあったかもしれません。仮にヒソカが一酸化炭素中毒を起こしていたとしたら、いくら死後に念能力を発動させていても、体内の赤血球のヘモグロビンにはガッチリと一酸化炭素が結合しており、蘇生は難しかったことでしょう。なにより、シャルナークが「窒息死」と「中毒死」を間違えるとは思えません。

もう一つ気になるのが,爆発後の描写です。

爆弾人形の爆破によって闘技場に大きな穴が空いており、下層の階と繋がっているように見えます。仮に爆破によって床が落ちたのだとしたら、いくら人形が爆破で一時的に酸欠になったとしても、床下からの空気の吸入によって酸欠は起きない可能性があります。それどころか200体も人形がいたのだとしたら、圧死の方がよっぽど自然です(といってもヒソカの強靭な肉体が人並み以上なため計りきれないですが)。

ただ、この場合も圧死であれば臓器の損傷は免れないので、心臓や肺の伸縮を復活しただけでは生き返る可能性はとても低いはずです。

人形は酸素を吸っていた?

さらに気になるのは、クロロの造った人形は酸素を吸うのか?ということ。

ヒソカの遺体には首に引っかき傷もあることから、人形が爆発後ヒソカが動けなくなった状態になってからも首と胴体を離そうとしていた可能性はあります。ヒソカの首回りに大量に集まり「肉の壁」となりそこで人形が呼吸をしていたとしたら酸欠による窒息という可能性が再び浮上します。

・・・まぁ実際はどうであったか分からないわけですが、「肉の壁と爆発での酸欠になっての窒息」といっても結構色々な憶測ができてしまうわけです。

おわりに:ヒソカはAEDによる救出を考えなかった

最後にもう1つ、これはかなりどうでもいい話なんですが、ヒソカがAEDによる救出を考えなかったことも間違いないでしょうね。念を使うためとはいえ,心臓と肺に指を突っ込んだ状態になっていたら幾ら何でもAEDは使えませんからねぇ・・・。

まぁ、ここについては「そもそもAEDあるのか?」というツッコミもできるし、そもそもデスマッチを快諾しているわけですから相手やその周辺からの助けを期待すること自体がナンセンスですけどね。

どちらにせよ、ヒソカは「酸欠による」「窒息」であったからこそ、自身の念能力によって復活できたと考えらます。どちらかが完全に死なない限り、デスマッチも終わらないわけですから、不自然でない形で,死んだり生きたりする方法としては死因のチョイスとしてベターだったのは間違いありません。

「酸欠による窒息」を選んだ冨樫先生にいろんな意味で感心してしまった一話でした。