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科学エデュケーター/コミュニケーターの私が自然科学の話をほとんどブログに書かない理由


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こんにちは、科学を語ってメシを食って生きているuru(@uru_)です。

ここ数日ブログではDIYやバイクの話ばかりして「お前一体何者だよ?」みたいな存在になっていますが、それに対して「私は私」と大坂なおみ選手と同じ言葉しか出てこない私に、果たして本当にアイデンティティなるものがあるのかないのか…。最近はそういうことって、どうでもいいなって思っています。心動かされることをまっすぐやっていけばいいんじゃないかな、と。

そんな私がまっすぐやってきていると言えば、科学エデュケーター(理科教員)やコミュニケーターという自然科学(物理・生物・化学・宇宙・地質・健康・医療などなど…)や理科という教科に関係すること。今学校には勤めてない私が「教師」と名乗るのははばかられるのでエデュケーターなどと遠回しな言い方をしていますが、これからもずっと、学校の内外に関わらず、科学の学びや対話に携わっていきたいという気持ちがとても強いです。

ところが、もしかすると周囲にはそう見えていないのかもしれないと、ふと思う出来事がありました。

先日Twitterをフォローしてくださっている方がわざわざ会いにきてくれました。そのかたも理科に関心のある方でした。が、会って話をして思ったこと。

あれ?私ブログで自然科学の話、全然してないなぁ…と。

でもそれが何故か、あまり深く考えたことがなかったので、少し整理してみました。

私が自然科学の話をブログに書かない理由

実際本当に自然科学の話を書いていないか、検索してみました。その結果、面白かった科学の本の紹介などは少し書いているのですが、最新の科学ニュースの話や行ってよかった博物館や科学館の話なのは、ちっとも書いていませんでした。強いて言えば教育や受験に関する話の方が書いているようです。

科学の話をもっと聞きたい!…という要望もされたことがなかったので、これまで気にもせずにいましたが、思った以上に全然書いていなかったみたいです。

でも…何故?

少し考えて整理してみたところ、3つの理由があるみたいです。

  • 仕事だから
  • 専門は社会科学だと思っているから
  • 実はそんなに好きじゃないから

仕事だから

身もふたもない話で申し訳ありませんが、真っ先に思いつくのがこれ。

しかも自然科学ネタは内容の妥当性を担保するためにかなり下調べをするので、1日1回更新のようなスピードではまず書けません。今、業務の一部で科学ネタをWEBメディアや雑誌などにほんのちょっぴり寄稿する機会があるので、ちょっとずつ書いてはいますが、ガチの科学好きをターゲットとしたものが多いため、まだライティングに慣れていない私は超ビビりながら書くしかありません。

こればっかりは、経験値を地道に上げていくしかないのかもしれません。安易な気持ちで個人のブログには書けないのです。

自分の専門は人文・社会科学系だと思っているから

「どこでそんなに科学を勉強したんですか?」と聞かれると、私はすごく心苦しい気持ちになります。ここでいう科学は自然科学のことですが、これまで割いた時間からすると、微々たるものです。

科学エデュケーター/コミュニケーターなどと偉そうな肩書きを振り回していますが、私が取った学位は教育学、つまり人文・社会科学系です。純粋な自然科学系の研究をしてきた人間に比べれば、自然科学の知識も研究スキルも劣ります。

私が専門として研究・実践してきたのは科学教育・理科教育。それも教える・学ぶという具体的な状況でどのように学習が進むかという学習科学と呼ばれる領域に近いことをやっていました。対象が科学・理科なので、教科書に載ってるレベルの実験はだいたいやったことがありますし、一部は教材研究したこともあります。その手法は自然科学研究と基本的に同じですし、確かにそれなりには自然科学の知識をもっています。でもそれはあくまで「それなりに」のレベルの話。私より詳しい人なんて腐るほどいます。

一方、私がもっと時間をかけてやってきたことは、科学や理科を学ぶとき、学ぶ人は現象をどのようにみて、どんなことを思い、どこにつまずき、乗り越えるのか…なんていうようなかなり複雑な人間の営みを調べる社会科学系の研究や実践。さらに「そもそも科学を学ぶってどういうこと?」という問いに対し、過去の文献を漁り、その変遷を辿って論述的に考察する人文科学系の研究もしてきました。論証を考えるのが1番楽しいと思うくらいです。

つまり、自然とか社会とか人文とか全部跨いだ研究、「学際的」なことをやってきたわけです。時間の割合的には人文・社会科学の方が圧倒的に長いのです。

自然科学単体はそんなに好きじゃないから

そして、私は確かに自然科学や理科を語るに近いところで研究も実践も続けていますが、基本的には自然科学や理科の知識を使って色々工夫する人間や、人間が作り出すクリエイティブな社会に関心があるわけで、自然科学そのものはそんなに好きじゃありません。その辺りは科学史や科学哲学、科学技術社会論に近い発想です。だから、単に学術的知識や思考スキルを身につける科学教育といった学びのプロセスだけでなく、コミュニケーターという仕事もやっていると言えます。

自然科学単体は、興味こそあれど、それだけでは私の心は動かない。自然科学やその技術が発展すれば自ずと社会全体がよくなるなんてことはこれっぽっちも信じていませんし、それ自体は何も面白くもない。人間や社会と科学が深くつながって初めて面白い。

だから、本音を言ってしまうと、初めから自然科学大好きな人たち向けに自然科学の知識を分かりやすく説明する仕事は正直そんなに面白くない。一見全然関係ないような何かと自然科学やそこから生まれた技術をつなげて学びやコミュニケションを作った方がきっとずっと面白いんじゃないか。日常的に思っていることはそんなことです。

DIYやバイクも、私の中ではその延長線上にあります。

おわりに:科学の学びが人と社会をつなげる

まだ報告できるほどではありませんが、最近少し様々な関心をもつ人とつながりをもつ機会がありまして、学びの場のデザインをほんの少しお手伝いさせていただいています

学びの場とか〇〇教育をやりたい!という人は世の中にいっぱいいますが、学習目標やその中のコミュニケーケーション、評価と改善をしっかり組み込んだ実践を企画・立案するところに不安を抱えている人は少なからずいるみたいです。きっとそういう人たちは自然科学などに直接関係のある話をいっぱいしたい人なんだろうと思います。

私はしないけど、私の関心ごとはそういう人を精一杯応援することでもあるんです。応援することが、仕事にまで発展できればいいのになぁ。もし私と何かやりたいと思ってくださる人がいれば、ぜひ遠慮なく声をかけて欲しい、話をしたいというのが願いです。

自然科学の話を誰がするか、そういうのは適材適所だと思います。

ただし、ブログ以外の場所ではこれからも細々とは執筆活動していくと思いますので、たまにTwitterや公式メディアをご覧いただけると幸いです。